あたしが家に帰ってしばらくして、お母さんが仕事から帰ってきた。


「ただいまー」


リビングに入ってきたお母さんは、ソファに座っているあたしを見て、しかめっ面になって叱った。


「柑菜、何してるの?帰ったらすぐに宿題と予習復習しなさいって言ってるでしょ?」


そう言うお母さんをあたしは真剣な顔で見つめた。


そのあたしの表情にお母さんは何かを悟ったのか、あとは何も言わなかった。


「お母さん、そこに座って。話があるから」


向かいのソファを指差す。


お母さんは訝しげに、バッグをテーブルに置いて座った。




――――『夏見さんの本音、伝わると思う。』




萩尾くんの声が頭をよぎる。