「待って!!」


大声で叫んで、机を動かす手を止めさせた。


ビックリしたのか、みんな目をパチクリさせている。


「......あたし、ここが良いの」


と言うと、教室を飛び出した。


ダッシュで萩尾くんを追いかける。




あたし、今の席、嫌じゃないよ。


萩尾君と隣の席になって、萩尾くんの事をたくさん知って、嬉しかったんだよ。


萩尾くんの優しさを、笑顔を、知る事が出来たんだよ。


萩尾くんの歌声は、隣の席になってキミが気になってきたから、聴く事が出来たんだよ。




その事を伝えたくて、あたしは萩尾くんの去って行った方向に、全力で走った――――。