中学校までの道のりはとても厳しいものだった。

照りつける太陽。
僕から奪われていく水分。
何度拭っても出てくる汗。
人の煩さ。
蝉の五月蝿さ。


まだいたんだ。

なんて悠長なことは言えやしない。

なんでいんだよ。

と暴言じみたことなら言える。

なるべく影を探して日光さんから隠れていたはずなのにこの汗。

僕はもうダメかもしれない。

そんな文をみんなに送ろうとした瞬間、僕の名前を呼ぶ声がした。

お迎えか、なんて思ったけど夏休み前まで聞いていた聞き覚えのある声だったのでハッと我に返った。

「また遅刻?」
「安定の」
「来ないかと思ってた」

それぞれがそれぞれ話していくこいつ等は僕のクラスメイトで一応友達。

「昨日何時まで起きてたの?」

風間が僕に聞いてくる。

「宮代から連絡もらってから」
「はっや」

すかさずツッこんだのが竹馬。

「そんだけ寝て遅刻って」

竹馬の後ろに隠れて笑っているのが白梅。

「まあまあ、夏休みなんだしリズムが不規則になってんだよ、きっと。」

僕の味方をしてくれるのが松井。

松井と竹馬の笑いは許せるんだけど白梅の笑いだけはなんか許せなかった。

なぜだろうか。
毎回だから気にすることないか。

「ふあぁ」
「そんだけ寝てまだ眠いの?」

白梅がさらさらな銀髪を揺らしながら聞いてくる。

「そんだけをどんだけ使えばいいの?」

僕が声のトーンを変えずに言うと白梅は「やっと構ってくれた」と笑いはじめる。

構ったわけでもないが。

無視を決め込んでいたほうが正解だったのだろうか。

「白梅はこんなヤツでしょ」
「あぁそうだった」
「ちょっと二人ともー!」

僕と竹馬で意思疎通をしていたら白梅の邪魔がはいった。

「竹馬は渡さないもーん」

そう言うと白梅は竹馬の腕に自分の腕を絡める。

うげぇ、と嫌そうな顔をする竹馬。

僕も風間もうげぇって顔をする。

ただでさあ暑いのにそんなにベタベタしてこいつは平気なのか?

毎度だけど、竹馬も嫌そうにはしているどしているだけ。
ほんとに嫌ってはないだろう。