1、2分そうしていただろうか。


不意にゆうきの髪を触る私の手が滑り落ちたので顔を上げたら、ゆうきはこちらに向きなおっていた。
まずいと思って手を引っ込めて涙を袖で拭いた。




でもゆうきの目はまだ眠たそう。



「……どうし…たの?」



ゆうきは声からして寝ぼけているようだった。




「どう……したの?
……さっちゃん……大丈夫?」



ゆうきは風邪で掠れた声で昔のように私を呼んだ。
優しく、でも昔とは違う低い声で。