「お姉さんの名前は?」
ゆらりと近付いてきたハクトくんに背筋が凍る感覚を覚えながらも、ゆっくりと口を開く。
「南雲マリアといいます。」
「へぇ〜、マリアさんか。よろしくね?マリアさん」
スッと手を差し出されて、握手をした。
だけど、繋がった手から痛みを感じる。
え…、どうしてガラスの破片が…
「プッ、アッハッハ!…マリアさんって馬鹿なんだね。さっきマリアさんを味見した男が兄だって教えたのに、自己紹介までして握手もしてくれるなんて」
たらりと血がシルクのベッドに流れ落ちる。
「いい匂い…独り占めしちゃおうなんてズルいよね。僕の兄は」