「うわ!何だよ隼人、いつの間にいたんだよ」
隼人がそばにいた事に気づかず驚いた俺を見て、笑いながら向かいの席に座ってきた。
「通りかかって面白いもの見えたからさ」
「何だよ、だったら声かけろよ」
「スマホ片手にため息ついてうな垂れているのに、声かけたら悪いかな?ってさ」
隼人の奴、楽しそうに言ってる。こいつ・・・からかってるな。
まったくこいつは爽やかな顔してもてているけど、本当はこうやって人をからかって楽しんでいることがあるんだ。
滅多に他の人に見せないからみんな知らないと思うけど。
「お前、いつから見ていたんだよ」
「うん?今、通りかかったとこだよ。ニコニコしながら電話切ったのに、ため息ついてうな垂れていたとこ位しか見ていないよ」
爽やか笑顔で何でもない事のように言ってる。
「・・・まったくお前は」
呆れて怒る気にもならない。結局話も聞かれていたわけだ。
まあ、会社で話しているのだから何も言えない。
伊東さんとのことは隼人も知っているわけだし。
「伊東さんだよ。また喧嘩した彼氏にこれから会うってことで、まあ・・素直に気持ち伝えてこいとか格好つけて言っちゃったわけだよ」
「へえ~」
「へえ~ってお前。まあ・・自分でもバカだなって思うよ」
そんな俺を見て隼人がフッって柔らかい顔で笑った。そんな顔を見たら、ふと聞いてみたくなった。
「なぁ隼人、お前は伊東さんのことどう思う?」
「何?急に。」
「いや、言い方が悪かった。伊東さんを想うことをどう思うかな?ってちょっと聞いてみたかったんだ」
そう特に意味はなかったけど、なんとなく聞いてみたくなったんだ。
「う~ん、何言ってもいいの?」
「ああ、いいよ」
気軽に聞いてみた、友人の意見を。
「趣味悪いと思う」
「・・・」
は?一瞬思考が止まって言葉が出なかった。
口が空いたままポカンとしている俺を、隼人は笑顔で見ている。
ん?この笑顔で今、趣味が悪いと思うって言ったのか?
「隼人、今趣味悪いって言ったのか?」
もう一度確認してみた。
「うん、言ったよ」
やっぱり笑顔で言っている。意味がわからない、普通そんなこと言うか?
「何だよ、ひどいな。何?隼人は伊東さんみたいな子が嫌いってことか?」
とりあえず頭に浮かぶ疑問を聞いてみた。
「ううん、伊東さんが好きとか嫌いとか関係ないよ。彼氏がいるとかそういう事もね」
「ごめん、隼人が言ってることが分かんないんだけど」
余計に頭がこんがらがってきた。趣味悪いと思うけど、好きとか嫌いとかじゃないって?
「ん~、変な言い方してごめん。本当に伊東さんがどうこうってことじゃなくてさ、健吾が見る目ないなって思っているだけ。健吾は幸せ逃して、後で後悔するタイプだなって言いたかっただけ。変な言い方してゴメン」
「いや、ん~そうか?俺見る目ないか?」
急にそんなこと言われて焦った。
変わらず笑顔で言っているけど、何だかいつもの隼人と違う気がした。
「さあ?どうかな。まあ俺の意見だよ」
「じゃあ、そう言っているお前はどうなんだよ。俺の知っている限り隼人に彼女がいるって聞かないけど。お前に彼女がいないってことが不思議でさ。あちこちでモテてるだろ?」
「さあ?」
こういうところが隼人だ。そう、入社した時からの付き合いだけど彼女の存在は見えない。
会社内でも隼人に想いを寄せている人も告白した人もかなりの数知っているけど、どれも実ったものはないはずだ。
「隼人はどんな人が好きなの?」
「う~ん、嘘つき・・かな」
何かを思い出しているように考えながら答えた。
「は?何だそれ。お前そういう趣味?そんなんじゃお前こそ幸せになれないだろ」
意外な答えにビックリした。隼人っていったいどんな趣味なんだ。嘘つきな女って・・意味わからねー。
今まで見てきた隼人からは想像ができなかった。
「まあ僕のことはいいって。じゃあ、報告書書いて帰ろう」
隼人はそう言うと立ち上がって手をひらひら振りながら歩いて行った。
俺はボーっとその後ろ姿を見て残りのコーヒーを飲んだ。
何か全てをうまくはぐらかされたような微妙な気持ちが残った。
隼人がそばにいた事に気づかず驚いた俺を見て、笑いながら向かいの席に座ってきた。
「通りかかって面白いもの見えたからさ」
「何だよ、だったら声かけろよ」
「スマホ片手にため息ついてうな垂れているのに、声かけたら悪いかな?ってさ」
隼人の奴、楽しそうに言ってる。こいつ・・・からかってるな。
まったくこいつは爽やかな顔してもてているけど、本当はこうやって人をからかって楽しんでいることがあるんだ。
滅多に他の人に見せないからみんな知らないと思うけど。
「お前、いつから見ていたんだよ」
「うん?今、通りかかったとこだよ。ニコニコしながら電話切ったのに、ため息ついてうな垂れていたとこ位しか見ていないよ」
爽やか笑顔で何でもない事のように言ってる。
「・・・まったくお前は」
呆れて怒る気にもならない。結局話も聞かれていたわけだ。
まあ、会社で話しているのだから何も言えない。
伊東さんとのことは隼人も知っているわけだし。
「伊東さんだよ。また喧嘩した彼氏にこれから会うってことで、まあ・・素直に気持ち伝えてこいとか格好つけて言っちゃったわけだよ」
「へえ~」
「へえ~ってお前。まあ・・自分でもバカだなって思うよ」
そんな俺を見て隼人がフッって柔らかい顔で笑った。そんな顔を見たら、ふと聞いてみたくなった。
「なぁ隼人、お前は伊東さんのことどう思う?」
「何?急に。」
「いや、言い方が悪かった。伊東さんを想うことをどう思うかな?ってちょっと聞いてみたかったんだ」
そう特に意味はなかったけど、なんとなく聞いてみたくなったんだ。
「う~ん、何言ってもいいの?」
「ああ、いいよ」
気軽に聞いてみた、友人の意見を。
「趣味悪いと思う」
「・・・」
は?一瞬思考が止まって言葉が出なかった。
口が空いたままポカンとしている俺を、隼人は笑顔で見ている。
ん?この笑顔で今、趣味が悪いと思うって言ったのか?
「隼人、今趣味悪いって言ったのか?」
もう一度確認してみた。
「うん、言ったよ」
やっぱり笑顔で言っている。意味がわからない、普通そんなこと言うか?
「何だよ、ひどいな。何?隼人は伊東さんみたいな子が嫌いってことか?」
とりあえず頭に浮かぶ疑問を聞いてみた。
「ううん、伊東さんが好きとか嫌いとか関係ないよ。彼氏がいるとかそういう事もね」
「ごめん、隼人が言ってることが分かんないんだけど」
余計に頭がこんがらがってきた。趣味悪いと思うけど、好きとか嫌いとかじゃないって?
「ん~、変な言い方してごめん。本当に伊東さんがどうこうってことじゃなくてさ、健吾が見る目ないなって思っているだけ。健吾は幸せ逃して、後で後悔するタイプだなって言いたかっただけ。変な言い方してゴメン」
「いや、ん~そうか?俺見る目ないか?」
急にそんなこと言われて焦った。
変わらず笑顔で言っているけど、何だかいつもの隼人と違う気がした。
「さあ?どうかな。まあ俺の意見だよ」
「じゃあ、そう言っているお前はどうなんだよ。俺の知っている限り隼人に彼女がいるって聞かないけど。お前に彼女がいないってことが不思議でさ。あちこちでモテてるだろ?」
「さあ?」
こういうところが隼人だ。そう、入社した時からの付き合いだけど彼女の存在は見えない。
会社内でも隼人に想いを寄せている人も告白した人もかなりの数知っているけど、どれも実ったものはないはずだ。
「隼人はどんな人が好きなの?」
「う~ん、嘘つき・・かな」
何かを思い出しているように考えながら答えた。
「は?何だそれ。お前そういう趣味?そんなんじゃお前こそ幸せになれないだろ」
意外な答えにビックリした。隼人っていったいどんな趣味なんだ。嘘つきな女って・・意味わからねー。
今まで見てきた隼人からは想像ができなかった。
「まあ僕のことはいいって。じゃあ、報告書書いて帰ろう」
隼人はそう言うと立ち上がって手をひらひら振りながら歩いて行った。
俺はボーっとその後ろ姿を見て残りのコーヒーを飲んだ。
何か全てをうまくはぐらかされたような微妙な気持ちが残った。