そんな飲み会が終わって皆と別れてから、もう頭の中は健吾のことだけで。
恋と気付いたこの気持ちを諦めるのか、貫くのか。
まだ同僚という枠で友達にはなりきってない。

彼女がいても私が割り込めるかな?
結婚しているなら諦める。でも、健吾は結婚しているわけじゃない。

今まで好きになった人に彼女がいるという状況なら諦めたことはなかったし、こんなに悩んだこともない。
とにかく好きという気持ちを伝えていたのだ、友達になってしまう前に。

でも・・・健吾には言えなかった。

話せば話すほど、知れば知るほど好きになってしまったから。好きだと言って断られるのが恐くなってしまった。
今まで好きになった人への気持ちと何かが違う。

「ゴメン・・・楓のこと恋愛目線で見たことなかった」

あの言葉、あの時傷ついた気持ちがフラッシュバックしてしまって、健吾に嫌われたくない!失いたくない!って思って自分の気持ちに蓋をした。


そうだよ・・・あの時諦めちゃったんだ。


そしてあれだけ心に決めていたのに、しっかりと友達関係を築いてしまったんだよね・・・大馬鹿だよ私。
今、こんなに後悔してるじゃない。
恋愛相談にのって、女心をアドバイスしたりして、頑張れ!頑張れ!って・・・そうやって私の嘘が始まっちゃったんだ。
私は友達なのに、心に思っていない嘘をついた。


そうやって自分の気持ちに一生懸命蓋をしたんだ。