『――ヤダッ…ヒクッ…』
まだ温もりの残る彼の布団でボソボソと言葉をこぼしてみるけど、彼はもういない
鍵おいて帰ればいいから
そう言って彼はすぐに彼女の元へと行ってしまった
『―――好き、大好き、なのにっ…』
ボソリ、零した言葉は誰も拾ってくれない
"――胡桃"
彼の声が好きだった
あんな意地悪な言葉言ってごめんなさい
こんな私でごめんなさい
彩海がうらやましいよ
何も知らない彩海は幸せなのかな?
ううううん。幸せなはず
むくり、と立ち上がった
もう帰ろう
修平さんの家はこれで最後なんだ
ポケットに入れてた鍵を机に置いた
二つおりの携帯を開いてハッと気付く
今二人は一緒にいるんだよね…
[修平さんへ
有難うございました
大好きでした
連絡先はもう消します]
近くにあったレシートのゴミに書いて
そっと枕の下に入れた
『――ふふっ』
自分が馬鹿馬鹿しくなって笑ってしまう
修平さん、彩海と幸せになってね
まだ二人はいるだろう
カラオケでも行こうかな…
こんなにも体は修平さんを求めてるのに、震える足でカラオケ店に向かった