浴槽を出て、その甘い声はリビングからではなく、彩海の部屋から聞こえてた
聞きたくない…
なんて思ってすぐ部屋に戻ってドライヤーを付けた
耳に聞こえるのは、甘い声ではなく
煩いドライヤーの音
片手にドライヤーを持ち、片手で携帯を開いた
[ただいま~(^o^)/]
およそ、15分前
[ただいま(*^_^*)]
ただいまにただいまを返すなんて、可笑しいのかもしれないけど、付き合った初日にしてはありえないのかもしれないけど、返す事がなかったっていうのが本音で
[おかえり♪
明日学校だよね?俺らの思い出のゲーセンの前から一緒に行こ?]
明日学校…そんな事まで知ってるのか
――週に、3日
その1日を知ってるなんて
俺らの思い出、なんて言っても私は颯太の事を知らなかった
少し、怖い
でもずっと私の事好きでいてくれたと思うと、それも1つの愛なんじゃないかな、なんて思った
[じゃあ8時10分頃に行くね
もう寝るからおやすみ]
ドライヤーを切って、携帯を閉じた
もう、甘い声は隣の部屋からは聞こえてこなかった
寝よう、明日は彼氏に会うんだ
眠りに落ちた