「胡桃の彼氏ってどんな人なの?」



…やめて




「胡桃ちゃんの彼氏だったらきっとかっこいい人なんだろうな」


楽しそうに修平さんが笑う




…やめて



「幸せにしてもらいなさいよ!そのうち私と修平にも紹介してよね」




…やめて




「そうだな。楽しみにしてるよ、胡桃ちゃん」





『やめてッ』



――ガチャン


音をたててお箸が床に落下した




『…ごめん』



拾ったお箸をリビングに持っていき水でそそぐ




――冷たい



『(泣きそ…)』




歪む視界を手で拭いて笑顔で食卓に戻った



「どうしたの?私…なんか言っちゃった?」



『違うの!考え事、してて…』



「良かった!」




『彼氏はね、何度も好きだって言葉にしてくれる、人かな…』



「そうなんだ!言葉に出すって大切だもんね」


ニコニコと笑う彼女に笑い返す






―――私はちゃんと、笑えてるかな?