※以下本文とは関係ありません

 ~華國軍編成概略~

 華國の防衛を担う軍は多くの種類がある。

 主戦力は師団である。

 師団はいくつかの軍団で編成され、軍団は部隊で編成される。

 
 軍団はそれぞれ花の名を持ち、部隊は部隊長の名が付く。

 
 各部隊には時折魔法使いが配され、一般兵のサポートに回る部隊もある。

 
 しかし魔法使いの人数は少なく、全ての部隊に配備される事は難しい。


 またその逆で魔法使いだけで編成される部隊もある。


 これらは師団に属さず、独立遊撃隊として部隊長の思考、指示で戦場を駆け巡るのである。


 部隊だけであるという事での伝達指示の軽さと機動力。


 更に魔法使いの攻撃力を持つこの遊撃手は戦場だけでなく各方面でかなりの有効性を発揮する。


 完全に独立しているという訳では無く、師団長、軍団長の作戦指示を仰ぐ事が基本とされている。


 しかし魔法使いだけで編成された部隊の三強と言われる部隊は別であった。


 これらは王の命令ですら参考程度として扱う事が出来る部隊である。


 それほど迄に高位の魔法使いは戦略に対する見識も深いという事であった。


 しかし基本的には作戦に従う事が多いようだ。


 他にも傭兵、私兵、義勇兵、教会騎士団等、華國軍には直接属さない非正規軍事勢力もある。


 これらも基本的には師団長、軍団長の命で動く。


 以下は魔法使いだけで編成された部隊の内、三強と呼ばれる部隊の特色を紹介する。


「華龍隊」
 (カリュウタイ)

 近接武器をも得意とする魔法使いで編成された部隊。
 
 
 魔力の節約といった点でも優れ、あらゆる戦闘にも対応出来る戦闘のプロフェッショナル集団。


 紋章は花の枠絵に龍。


「虎華隊」
 (コッカタイ)
 
 特殊特性を持った魔法使いだけで編成された部隊。

 
 その特異性は戦場ではムラがあるものの、時に三強部隊で一番の突破力を持つ。


 紋章は両脇に花の樹、中央に虎


「王華隊」
 (オウカタイ)
 
 王の華とも言われる。
 
 貴族の中でも上級魔法使い以上で編成された部隊。

 
 脈々と受け継がれた血に流れる魔力と知識を誇る。

 
 その為常に安定した戦力を有し、攻撃力は部隊の中でも平均し一番高い。

 紋章は王冠を囲む華。

 
 【新兵の為の軍事基礎知識】より


 
 王城正面の門に華王以下あらゆる政府関係者が集められ、

 王からの発表があるとの事で民衆は全て通りに出ていた。


 王城正門から都の正門迄の坂道と階段、防壁には群衆が立ち、

 王の声を待った。


 ざわめく観衆に王が向かうと話声は止み、巨大な都市が静まり返った。


ブレイブリー
「聞け!皆のもの!

 先日、魔法都市である眠りドラゴン城が煌皇国に襲撃され、壊滅した。


 生き残った者は少なく、多くの者を失った!」


 観衆はざわつき、泣き叫ぶ者もいた。


ブレイブリー
「長く平和を保って来たが、今回の事は容認は出来ん!

 
 また第二の魔法都市の悲劇が繰り返されない保証は無い!」


「戦おう!」

「そうだっ!戦いましょう!王よ!」

 多くの者が声を上げ出した。


ブレイブリー
「勇敢なる諸君!」

 また民衆は静まった。

ブレイブリー
「私は平和路線を進めた事を深く謝りたい。

 停戦を推し進めた事をここに謝罪する。

 しかし、もう迷いは無い!

 またこの愚王に従ってくれるのならば、

 私は徹底的に煌皇と戦う準備を行なおう!」


「おおー!」

「国王閣下万歳!」


ブレイブリー
「皆!
 力無き私に力を貸して欲しい!

 もう悲劇は繰り返してはならない!

 今ここに煌皇国との

 開戦を宣言する!

 大陸を統一させ戦争を終わらせよう!

 華よ永遠に咲き誇らん事を!」

 
 王の回りにいた戦士達は剣を抜き、文官達は民衆を煽るように叫んだ。


 群衆は熱狂し、街は冬の寒さを感じぬ程に熱く沸き上がった。

 
 謁見の間での一連の任命式と城外での演説は、後々まで華國の運命に大きく変えた分岐点と言われる。


 これより華國は守勢より攻勢に転じる事となる。

 

 

 


 
「良い目を持った青年であった。

 そういう目はもう一人見ている。

 真っ直ぐであり、頑固であり、それでいて優しい目だ。


 雰囲気も似ている。

 気力がみなぎり、内から外へと出たがっているようでもあった。


 彼は始祖が使わした者なのかもしれない。


 この激動期に自分が創った理想の国を守る為に。

 
 ならば創設者の意思に私は沿おうと思う。

 
 今までもそうしてきた。

 
 その結果民は増え、民は笑顔であるからだ」

 【華國史】第参巻
 ~星の魔法使いの章~
 華王 
 ブレイブリー・ロイヤル・スタッグ
 の証言より

 

「初めて彼を見たときに私にも一族の血が流れていると確信した。


 彼の怒りを感じた。

 悲しみも、そして強き意思も。


 父は彼が私に良く似ているという。

 私はそうは思わない。


 彼はあの若さで既に私と同じように決意をしているからだ。


 身分や己の力に関係無く、何かを命にかえて守るという決意を感じた。


 ならば彼が私の年になる頃にはどれ程の人物になるのだろう。


 今まで人にそんな事を感じたのは弟くらいの者である。


 矢よ彼を避けて通れ。

 槍よ彼を貫かぬ事を」

 【華國史】第参巻
 ~星の魔法使いの章~
 華國第一王子 
 リンス・ロイヤル・スタッグ
 の証言より
 「魔法都市陥落、国王の決起」の報は大陸北を電撃のように走った。


 華國軍事首脳部は先の奇襲で踊らされた事を悔やみきれずにいた。


 クラッシュを作戦本部に迎え入れ、多くの学者、引退した軍事関係者、民間の知識人も続々と王城へと自主的に参じた。


 これにはウルブスの余命を捨てた戦線の復帰の報が大きく誇張されて広がった効果も大であった。


 保守的な王の憤慨。

 平和を望む老兵の回帰。

 主要都市での虐殺。

 若き王子の出兵。

 新たに作られた精鋭部隊。 
 
 それを率いる最年少の騎士。


 全てが華國国民の心を揺さぶった。

 
 若者達はクワから槍に持ちかえ、

 老人は杖をついてでも関所へ向かった。


 鍛冶屋は鍋修理から防具作りに切り替え、

 商人達は金貨を惜しみ無く差し出す。


 燻っていた傭兵団は息を吹き替えし、各地で自警団が作られた。


 国王に保護されていた亜人達は立ち上がり、

 上位の精霊ですら王に敬意を表し王城に現れた。


 二度の侵略を受けてもなお、平和を望んだ王があらゆる者から愛されていたという結果であった。


 選定眼を持つ王は常に善政に勤める者だけを上に立たせていたからでもあった。


 華國一丸となって戦争への準備が進んでいく。


 かつて北大陸を統一した頃の様な活気に街は溢れていく。


 皆がこの国を守りたいと望んで自発的に動き出す。


 皆のやる事は違ったが、統制GA無いとは言わせない程に連携を組み、

 華國は巨大な生き物のようにその爪を煌皇国に向け始めたのであった。
 
 大陸中央に走る山脈。

「断絶の盾」

 
 東西まで伸び、南北に向け幅が広く、標高も高かった。

 
 南北を行き交う商人達にとっては旅の最大の難所であった。

 
 道が険しいだけという訳ではなく山賊、好戦的な山間民族、野犬の群れ等も住み着いていたからである。


 大陸が山脈に向かい押し合いこのような形になったと学者は語っている。


 神話では北の女神が南の男神を嫌った為に作られたと記されている。

 
 山の各地に太古の遺跡が数多くあり、宝が眠るのではないかと多くの者が犠牲にもなった。


 その山に阻まれていた為に華國と煌皇国は大規模な正面衝突をまのがれていたのだ。


 少数部隊ならば越えられる峠は幾つかあったが、

 大国を侵略する数での行進となると、その道は三本に絞られることになる。


 それは分かりやすく言えば、西、東、中央のルートであった。


 中央ルートは両国により防衛拠点が多く築かれ、

 二度に渡る激戦の結果双方に巨大なゲートと要塞が設けられた。


 その為に両国共に進行不可能とされている。


 西側ルートには深い渓谷があり、橋こそ架かってはいるが少し労力を使えば橋を落とし進軍を阻む事が出来る。


 そして現在、最も苛烈を極めているのが東ルートであった。


 多くの古城や破壊された城を応急処置した砦、馬群を阻む為の木柵が至るところに張り巡らされていた。


 深い渓谷ではあったが、その底は広く、多くの植物も自生している。


 現在最も大軍が南北に向け行き交う唯一のルートであると言っても良いだろう。


 大局的に見ても華國西には海岸線沿いに多くの城があり、煌皇国は東を選ぶのが当然ではあった。


 しかし予想もつかぬ北からの襲撃もありこの大山脈での戦場が何処になるかは両軍にとっても多少未知な所もあったのである。

 

 
 一手目をボーワイルドの奇襲という形でとられ、

 遅れをとれない華國軍事部は総力を結集し、戦況を読んだ。


 その結果ボーワイルド率いる軍勢の本国帰還を前に華國は迅速な反撃に出る。


 華國にとって比較的に防御の薄い東側ルートに師団及び魔法使いの部隊を送り攻略へと取り掛かった。


 率いるのは第一王子であるリンスだった。


 彼が前線へ着くやいなや、多くの兵士が武器を掲げ声を上げた。


 リンスは即刻作戦会議を開き、部隊配備を整えると自ら先陣に立ち、

 魔法部隊の三強と師団の中でも精鋭の軍団を選び少数精鋭での突撃を繰り返した。


 その速力は凄まじく、前線において敗戦、撤退の報が後方の煌皇軍に伝わると同時に華國軍は姿を現したほどであった。


 良いように振り回されていた華國軍は、魔法都市の弔い戦ともあり士気が高く、

 リンスの活躍で更なる高揚を見せる。

 
 兵力差はあったものの一週間足らずで山脈内の渓谷を制圧したリンスは後方施設の修復を急がせる。


 この時幾つかの魔法部隊が少数で山脈の小道を越え煌皇軍の後方の撹乱に成功していた。


 煌皇軍は華國軍の急速な襲撃で被害を多く受け、

 関所のいくつもの防衛軍は後方に後退、渓谷より少し離れた強固な要塞に立て籠り援軍を待った。


 更に華國の策が功を成した。


 煌皇国が前もって大戦の準備を進めていたように華國もまた進めていた計画があった。

 
 山脈勢力の懐柔。

 
 これには華國第二王子のトリートが任務にあたっていた。

 
 リンスと違い痩せたトリートは武には優れなかったが、国を思う気持ちはリンスに負けぬとも劣らなかった。


 トリートは少数の非武装部隊を率い過酷な山脈を渡り歩き山間民族、

 盗賊集団と交渉に渡っていた。


 一国の王子ではあるが、その肩書は辺境の地では安身の保証とはならなかった。


 幾度も捕まり、命の危険に晒されながらも彼は山脈を歩き続けた。


 その風貌は当初の面影は無く長い旅の果てにボロボロになっていた。


 次第に彼の異様なまでの執念に多くの者が心を動かされていく。


 元より差別意識の強い煌皇国よりも華國についた方が得策であると考えた者は彼に付き、

 大陸統一後に粛清対象となる盗賊達は戦争での武功を求めトリートに従った。


 しかしそんな中、最後まで傘下に収まらなかった部族があった。

 
 山脈の王族と言われた雪狼(セツロウ)の一族である。

 

 

 
 山脈で一番過酷な環境で生活している彼らは、

 女神の守護を司る神の子孫であると信じていた。


 また山脈で生活する者はそう信じて疑わなかった。

 
 それ程までに彼らの出生の由来通りに強かったからである。

 
 巨大で獰猛な雪狼を狩り、その毛皮のマントを纏い、

 自身の身の丈程の剣先が平らで武骨な巨剣を操う。

 

「山脈で雪狼を見たら死を覚悟で戦いに望め、

 彼らの足から逃れる事は出来ない。


 雪狼のマントを身に付けている者を見たならば、

 黙って死を覚悟し雪崩が起きる事を神に祈れ」


 彼らを比喩した言葉である。

 
 その部族の住む集落に数人の男が自ら向かっていた。

 
 警戒にあたっていた雪狼族の男がこれを発見し、急ぎ族長に報告をする。


「武器も持たず、汚い彼らは凍ったひげの下に笑みを浮かべている」


 族長はトリート達に興味を示した。


 自分達がどういった部族であるかを知っているにも関わらず、

 間抜け面をして山を登ってきたトリートの一団を迎えたのだった。


 しかしそれはただの暇潰しという感覚程度であった。


 一応の話を聞いた族長は部下に命令を出し、

 トリート達を雪ソリにくくりつけ、来た道を強制的に滑り落とさせた。


 しかし数日後再度彼らはまたやって来た。


 復讐に来たと思われたトリート達は一方的に暴行を受け、雪狼の巣に放置された。


 狼の糞を体に塗って雪狼の鼻を誤魔化し、

 命からがら逃げ出せた一団は三度目の訪問を行った。


 これには雪狼族も驚き、彼らを認めた。


 雪狼族は倒した雪狼に敬意を表し皮を鞣し、身に纏う事が習わしであった。


 強い者には敬意を払うのである。


 トリートは強い男だと認められ、


「諦めの悪いひげ」と名をつけられた。


 そこからはトリートの素性を話し、煌皇軍を共に倒すとの約束を取り付けた。


 交渉にあたってトリートは山脈誕生神話と雪狼族出生の神話を利用した。

 
 共に男神の土地とされる南大陸を蹂躙し、

 報酬を女神の住まうとされた北大陸華國の土地を少しとしたのであった。

 
 閉ざされた土地で生活していた彼らは血が濃くなり子に恵まれなくなって来ていた。

 
 これを憂いていた族長はトリートの話に乗り気になる。

 
 男神の土地を奪えば女神の祝福を受けられると族長は考えたからであった。

 
 こうしてトリートは山脈勢力を殆ど味方につける事に成功する。

 
 族長からは盟友の証として雪狼の毛皮の中でも一際美しく銀の毛を持つ毛皮が贈られた。


 それは彼が王城を出て十年もの歳月が経った頃である。


 山脈勢力を全て結集すれば一個師団ほどの戦力になった。


 それ以上にこの後華國軍は山脈での戦いを有利に進める事が出来るようになったのであった。

 
 

 

 



 
 王城に戻ったトリートは初めその汚れた風貌から入場を門兵に拒否された。


 無理もないであろう。


 リンスとは真逆で薄汚れた男が柄の悪い異様な代表者を従え王子を名乗るのだ。


 報告を受けた王が慌てて城を飛び出し、

 十年もの間身を呈して交渉に向かっていたトリートを抱き締める。


 何度かトリートからの便りを受けていた王はトリートを称え、

 トリートは今までの苦労からか涙を流し報告を行った。


 既に出撃をした兄であるリンスに合流すべく、

 各山脈勢力に使いを出しトリートは直ぐに城を出て東の関所へと向かった。

 
 城を出る前は好青年の風貌であったトリートは醜く汚れていたが、

 民は彼の出撃を総出で見送った。


「あの汚れは我々民の為のものである」


「執念の男、十年英雄」


「汚れを恐れぬ美しい華」

 
 王都オールインの民は様々に賛辞を送り、

 トリートは威風堂々出撃する。

 
 最所は半信半疑だった山脈勢力代表者もこれに気を良くした。


 リンスは第一、第二、第三師団及び、魔法部隊の総勢一万五千の兵力をもって東の関所を破り占領。


 この時敵の守備兵は全て合わせ六千。


 しかし煌皇軍は兵力を分散させて守備に着いていた為に、

 リンス率いる大軍と精鋭に各個撃破され、その数を千近くにまで減らされた。


 煌皇軍は関所を放棄し要塞の兵と合流、本国と周辺の援軍を取り込みおよそ五千にまで兵力を回復させる。


 リンスは関所の要所を全て陥落させ、千の兵を失った。

 
 そこへトリートが合流する。

 二人は久々の再開を喜び、お互いの功績を称え合った。


 トリートはリンスの陣営に入り、リンスはトリートの集めた山脈勢力の援軍を待った。


 この間に後方の補給ルートの整備を確実な物とし、一気に煌皇領へと攻め込む算段であった。


 関所前の要塞に立て籠る煌皇軍に数では優位に立っていた華國軍であったが、

 勢いに任せて攻める事をしなかったリンスは戦が上手いと後々評価された。


 一旦兵を休ませ、軍の編成を行い、兵糧搬送ルートの確保、山脈勢力の吸収を行い、攻城の算段を行った。


 トリートを訪ねやって来た山脈勢力の兵は日々増え続け、

 華國軍は一万七千にまで膨れ上がる。

 
 武勇を誇り自らの力を示した
 
 第一王子
 リンス・ロイヤル・スタッグ

 
 愛国心を自ら示して見せた
 
 第二王子
 トリート・ロイヤル・スタッグ


 金髪を揺らし勇敢に戦うリンスは

 「金獅子」と呼ばれ、
 
 銀の毛皮を纏うトリートは

 「銀狼」と呼ばれるようになる。

 
 双頭の勇者に率いられる華國東軍は歴代でも屈指の勢力と精強を誇った。


 そして戦場の要となる山脈の東の勢力図は一気に華國が掌握するに至ったのであった。
 

 
 二人の王子が出会う前、セブンは新たな部隊長を任され主戦場となるえあろう東ではなく、

 西の関所へと向かうように指示された。

 魔法使いであり、
 騎士となったセブンに従うのは
 
「元華國軍
 独立魔法部隊
 華龍隊隊長
 ウルブス・フォン・ドレイク」

「双子の魔法使いの兄
 精霊使いの特性を持つ
 上級魔法使い
 ミニッツ」

「双子の魔法使いの弟
 水と精霊の特性を持つ
 上級魔法使い
 セコンド」

 の三人である。

 セブンが任された部隊は華龍王虎隊という部隊であった。


 魔法部隊の三強とされた華龍隊、虎華隊、王華隊より選抜されたメンバーで構成されるという。

 
 セブン達は西の関所に向かう途中でクラッシュに指定された町に寄った。


 その町の宿で他のメンバーと合流するのだという。


 だが、セブンと三人は既に誰が来るか確信しているようであった。

 
 壊滅した魔法都市、眠りドラゴン城で賢者ケイロンから渡されたアイテムと書簡。

 
 書簡には新部隊の創設案が書かれていたそうだ。

 
 セブンを知るケイロンならばセブンの友好関係を知っている。

 
 それに渡されたアイテムを使える者は限られていた。

 
 そして、何より共に学び、鍛えた友の力を信用していたからでもあった。


 案の定、宿で待っていると、突如開かれた扉にセブンの同寮でルームメイトである成長したカトリの姿があった。

カトリ
「華國独立魔法部隊
 
 王華隊
 カトリ・リッチ・ブレス

 王の命により華龍王虎隊へと転属に参りました。

 って、お?

 セブンじゃん!」


 後ろからは美しくなった同じく同寮生であった赤毛のクロネがカトリを押し退け入って来た。


クロネ
「本当だ!セブン!

 それにウルブスさんも!」

ミニッツ&セコンド「おい、俺らは?」

 戦争が開始されていたが、この時ばかりは皆心から再開の喜びで笑顔になっていた。