「…佐藤。」 また、呼ばれる。 「…トモキ。」 今度は、名前だった。 「聞いてよ。 オレさ、まだ逃げて良いなんて一言も言ってないんだけど。」 「っ逃げてなんか!!」 「あ、でてきた。」 俺は、勢いに任せて布団をはがしていた。 「…なんで、ここにきたの?」 「落ち着くから。」 「それは、本当に『落ち着く』?」 そんなこと分からない。 俺は今まで一度も落ち着いたことはないから。