芹沢side


《お前は名医だよ。》

佐藤が、そんなこと言うから。

「どっちが救われたんだか…」

やっぱり佐藤には人を救う才能がある。
でも俺に、そんなものがあるのか…?

「オレに、人を救う資格はあるのかな。」

ない、と自分では思っている。
いや、思っていた。

佐藤の言葉を聞くまでは。

“芹沢のおかげで、思い出せた”

あの時の佐藤の顔は、なにかを固く決心した顔だった。

佐藤はなにを決心したんだろうか。

…オレは、何を。
何をどうすれば、いいんだろうか。

「ともあれ、佐藤が元気になってよかった。

オレも…Bettyの亡霊に懺悔をし続ける訳にはいかない。

Bettyの事は忘れないよ。
もう…絶対に君みたいな子は出さない。

許してくれとは言わないよ。
それじゃあ…また、あの世で。」

思い出さない。でも一生忘れることはない。
これでいい。


前に進むためには───…