気持ちが通じあった余韻が、甘い雰囲気となって、沈黙を運ぶ。
《次は─***駅─》
アナウンスが流れる。
さすがにそろそろ人が乗ってくるだろう。
目的の駅までは、あと二駅。
「なんだか今日の類君は積極的だよね。」
「今日ちゃんと言わなきゃ、もうチャンスは二度とない気がした。」
類君の発言に、私は嬉しくなった。
類君も私と同じ気持ちでいてくれたんだ。
「ふふっ…
なんか、嬉しいな。」
私がはにかんだ時だった。
「─月──…」
類君が、初めて私の名前を呼んで、私の唇を塞いだ──。
──一緒に出掛けた場合。
あなたは私の恋人になった────…
ああ本当に、君はずるい人だ。
*END*
「…というわけで、つ、付き合うことになりました…」
今日は部活で、何故か類君と付き合うことになった報告をしている。
報告すると、
「ヒューヒュー♪」
「やっぱりな~!」
「このリア充が!幸せになれよー!?」
うわあ…
このテンション絡みづらい…
類君はずっと黙ってるし。
すると花梨が、突然言った。
「まあ、私たちも協力したんだもん。
そりゃくっついて貰わないとね!」
ええ?
いつ協力を…?
私が首を傾げると、類君が慌てだした。
「いや、それはいいじゃん。別に…」
「おお?私たちに協力を頼んできたのはそっちなのでは?」
花梨…楽しそうだ(笑)
「…」
出た、類君の無言。
「まあ、いいか。
本当、幸せになってよ!」
結婚する訳じゃないのに…ふふ。
ああ、いかん、にやけるところだった。
その後、類君は男子たちに質問攻めされていた。
私はその間、花梨にこっそり、協力のことを聞いてみた。
花梨が教えてくれたことに、私は思わず笑ってしまった。
────────
───…
部活帰り、今日もホームで電車を待つ。
付き合っても、無言なのは変わらない。
けれど。
私は、そっと類君の左手を握った。
類君も握り返してくれる。
言葉がなくても、通じあえている。
私はふと、今日花梨から聞いた話を思い出して、ふふっと笑った。
「…?」
類君は不思議そうな顔をしてこちらをみた。
「いつまでもずっと、こうして隣にいられたらいいね。」
私がそう言うと、類君は少しはにかんだ。
「…うん。そうだね。」
花梨が言っていた。
『類君、どうしても遊園地の日に月に告白したいって、私たちにどうすればいいか聞いてきたんだよ。
だから、月は、積極的な男の子が好きだって、私言ったの~!
そしたら、具体的には?って、食いついてきて。
でも、本当に教えた通りにするとは…
本当に月のことが好きなんだね、類君。』
私は、そんな類君のことが、
「大好き!!」
私は、類君に抱き着いた。
類君は、顔を真っ赤にしながら、
「俺も。」
そう短く返してくれた。
*本当にEND*
皆さん、こんにちは!
そして初めまして!
末はしです(*^^*)
第3作目になりました、『ずるい人』。
いかがでしたでしょうか?
今回は、
無口×無自覚×天然=不思議系男子!!
との恋愛物語を目指しました!
設定としては、同じ部活、同じクラス、同じ電車…
あれ?
この設定どこかで…と思った方。
実はこの設定、私の二作目『目と目を合わせて』と同じなんですww←おい作者
この設定を思い付いたとき、付き合う前の話なのか、付き合ってからの話にするのか、迷っている所がありまして。
キャラは違えど、この二つの作品で二つのパターンが楽しめると思います。
是非読んでみてくださいo(^o^)o←結局宣伝
さて、この作品に出てくる類君。
本当の私の部活仲間がモデルになってます。
本人は、もっと不思議系男子ですよ(*^^*)
ちなみに、月ちゃんの方向音痴については、自分の失敗談です(^o^;)
月ちゃんの可愛さに免じて許して下さいませ←
最後に、この作品の出来事は、すべて電車のホームと車内で起こっています。
私自身、こういうのは憧れだったので、書いていてドキドキしてました(笑)
皆さんにも、このドキドキが伝われば幸いです。
では、また次の小説でお会いしましょう!
H.25.11.10
*末はし*