「どうしたの、みんな。座って座ってー」


女子同士の確執など素知らぬ顔をした東郷先輩は、ベンチの端に寄ってあたし達を促す。

美菜は一番に先輩の隣に座り、あたしと鈴音は、向かい側にある切り株のような椅子に腰を下ろした。

美菜が自分と鈴音の名前を東郷先輩に覚えてもらうべく、熱心に自己紹介をする。

自分のことを「美菜ちゃん」、そしてついでといった感じで鈴音も「鈴音ちゃん」と呼ばせることにも成功したらしい。

そして牽制のつもりか、鈴音とあたしに彼氏がいることを、しっかりと伝える。


「伊田ちゃん、彼氏いたんだね」


さして驚くわけでもなく、東郷先輩は言った。

あたしが頷くより早く、美菜が自分のことのように話し始める。