心地良い陽射しの下、楽しげな笑い声が響く中庭を、訪れるのはそういえば初めてだ。

中央部は主に上級生が陣取っている。

東郷先輩はそのまさに中心のベンチで、あたし達を待っていた。

同じく三年生の女の先輩が四人、その傍らに立って先輩と話している。

彼女達は、現れたあたし達を頭から爪先まで見ると、きつい視線を一つ投げかけて、去って行った。

一年生ごときが“みんなの東郷歩”と仲良くしてるなんて生意気、とでも言いたいのだろう。


「怖ーい」


美菜だけがそう言いながらも、キッと先輩達をにらみ返し、鈴音がそれを叱っていた。

あたしも鈴音に同意だ。

三年生に目をつけられたら面倒だという話はよく聞く。

美菜は目立つし、その上、負けん気も強いから、心配でならない。