無言の圧力も虚しく、東郷先輩は、名案を思いついたとばかりに手を打った。


「ねえ、よかったら、中庭でみんなでご飯食べようよ」


東郷先輩とお昼ご飯!?

そんなのあり得ない、と思ったのはあたしだけで、


「も、ももももちろんです!東郷先輩とランチできるなんて光栄です!」


美菜が思いっきりどもりながら言う。

鈴音も頭が落っこちそうなくらい、勢い良く頷いている。


「急いでお弁当持ってきます!」

「はいはーい。待ってるよ」


東郷先輩はひらひらと手を振ると、売れ残ったパンでも物色するためか、売店の方へと歩いて行った。


「杏奈、行くよ!」


既に二人は走り出し、とても拒否できる雰囲気ではなくなった。

仕方なく、楽しげな友達を追って、階段を駆け上がる。