体の横に垂らした、雄平の左手。

その小指に、あたしの右手の人差指を引っかける。


「ん?どうしたの?」


言いながら、あたしの右手は、丸ごと雄平の左手に収まる。

あったかい。

鼓動が徐々に速く打って、胸の内側が圧迫されていく。

その息苦しささえ、愛しい。

幸せだと、思う。

雄平は握った手を引き、あたしを体ごと引き寄せる。

肩が触れて、あたし達の距離は無くなる。


「あーなんか……」


雄平が、しみじみとつぶやくように声をもらす。

見上げると、雄平は首の後ろをかきながら、上の方に視線を漂わせている。

少し、耳が赤いように見える。


「雄平?」


何度か呼びかけて、ようやく雄平はあたしを見てくれた。

眉を下げて、照れくさそうに笑った顔で。


「今の、なんかすごい、うれしかった。杏奈の方から手、繋いでくれるなんて」