鈴音は美菜のことを、あたしが思う以上に大切にしているのだとわかる。

少し危なっかしい美菜のことを、これまでも姉のように見守ってきたのだろう。

美菜の無邪気な笑顔を思い浮かべながら、言う。


「あたしは嫌な思いとかはしてないよ。ただ、ちょっと刺さったけど」

「杏奈の場合、直接拒んだわけじゃないんだから。美菜とは違うよ」

「ん……。ただ、あたしがそういうオーラを出しちゃってるんじゃないかって不安もあるんだ。甘い雰囲気とか苦手で」


それは、あたしにとって大きな悩みであり、課題でもあった。

元々ケンカ友達のようなものから始まったあたし達だ。

今更、女らしくだとか、恋人同士のムードだとか、なんだか照れくさくて敬遠してしまう。

それが雄平にも、伝わってしまっているような気がしてならないのだ。


「杏奈は、どうしたいの?」

「あたし……?」


あたしは、どうしたい?

雄平に、もっと触れてほしい?