鈴音がほっと息を吐き、


「そうなの?じゃあ、もともと知り合いなのかもね」


と言ってくれるけれど、しかし美菜はすんなりと納得しない。


「そうかもしれないけど。少なくとも、“ただの”知り合いではなさそうだよ」


含みのある物言いをする美菜の視線の先を追って、あたしは思わず目を見開いた。

鳴海先輩という、あの美人の手が、雄平の腕に添えられている。

それはもう、恋人のような親密さで。

開いた口がふさがらない。

前言撤回、やっぱり彼女は魔性の女だ。


「ちょっと、杏奈。あれはガツンと言った方がいいよ」


美菜が、お団子にした髪を揺らしながら、プリプリと怒る。

鳴海先輩に対して、敵意むき出しだ。

あたしのことを自分のことのように怒ってくれているのはうれしいのだけど、その剣幕にたじろいでしまう。


「そ、そうなの?」

「そうだよ!杏奈達って、そんな遠慮あるの?」