特に後半の都市伝説じみた逸話の信憑性は怪しいものだけど、そうまで言わしめる何かを、彼女は持ち合わせているということか。
次々と沸いて出てくる噂を聞きながら、改めて彼女を見やる。
確かに美人だ。
上品な栗色の艶やかな長い髪を、ゆったりと巻いている。
驚くほど顔が小さくて、華奢な体。
手足がすらりと長い。
人形みたいだ。
ただ、確かに超絶美人ではあるけれど、とても遊んでいるようにも、極悪の権力者にも見えない。
ふと、本日二度目の既視感に襲われる。
ああ、違う、今度も現実にあったことだ。
あたしは中学一年生の時、似たような内容の噂話を耳にした。
そしてその視線の先にも、あれほどの美貌の持ち主がいた。
「あの人、たぶん同じ中学だ」
確かめるようにつぶやくと、やはり現実にあったことだと認識する。