「助けてもらうの、二度目ですね」


そう言うと、鳴海先輩は少しだけ目を丸くして、小首を傾げる。


「前に、あたしが東郷先輩を探していた時、教室に連れて行ってくれましたよね。あたし、お礼も言わずに……ごめんなさい。あの時も、ありがとうございました」

「なんだ、そんなこと」


先輩が、ふわりと表情を緩める。

本当に、綺麗な人だと思う。


「沙良って……あ、さっきの子ね。伊田ちゃんの胸倉掴んでた子」

「あ……はい」


沙良先輩の冷たい目を思い出すと、ゾクッと寒気がした。

気分を落ち着けるように、さっき掴まれた胸元を手で押さえる。