淡い光に照らされて、あの人と春樹の顔がダブる。

 あたしが好きなのは、どっちなんだろ…?

 あの人のことはもちろんすきだけど。

 あたしは…春樹のことを、あの人の代わりとして見てるのかな…?


「…ぁ」

「え??…ぁ」


 春樹の線香花火は、落ちることなく光が消えた。


「すげーッ!ちょ…見たか?!」

「え、あ…うん、見た」


 ほんとは見てないけど。

 その喜ぶ顔が…また、被った。

 ………何でこんなに、似てるんだろう…。

 あの日に戻ることはできないって…わかってるから。

 余計、切なくて。


「すげぇ!何か感動すんなぁ〜っ!」

「うんっ!」


 少し、無理に笑った。

 その瞬間、夜空に大輪の花が咲いた。


「あ…花火…!」


 邪魔するものが何もなくて、端から端まで見える。