ちらりと春樹を見れば、マナといたはずなのに…いない。

 2人で消えちゃった…?


「藍架…ちょっと来い」

「ぇ…」


 かき氷を持っていないほうの腕を引っ張られて、付いていく。

 神社の裏にある小池に着いて、手が離された。


「どうかした?―――春樹」

「いや、具合悪そうだったから…
 あのまま花火見んのもキツいだろ?」


 あらかじめ用意していたらしい手持ち花火が出てくる。


「これしようぜ♪」

「…2人で?」

「2人で♪」


 1本渡されて、火が付けられる。

 輝く手持ち花火。

 その光で、春樹の顔が見える。

 楽しそうに笑って…あたしを見てる。

 何か…見られてると、緊張する。


「春樹もやんなよ!」

「おー♪」


 1本手に取ったところで、火を分けた。

 音を出して火が散る。



「花火、好き?」