「涼たち、中学から一緒でね。
 中2の…夏くらいからバンド始めたんだけど。
 最初は気晴らし程度に〜…って言われて。
 一応ピアノとかお茶とかお花とか一通りしたことあったから弾いてみて…。
 何て言うのかな?
 ピアノとは違うポップさ?
 それが楽しくて…光に集められた涼たちは、音楽の楽しさを知ったんだ。
 それで…光が歌ってくれた歌を聴いて、入ろうって思ったの。
 2人も一緒。それが芳斗や…光たちとの始まり」


 ただ真っ直ぐに前だけを見据えた目。

 一体何を見ているのだろう…?


「居場所が出来て、嬉しかった。
 独りだったからね…。
 付き合いだしたのはその年の冬。
 寒い日でね、2人で残って練習してた。
 芳斗は…嫌なこと振り切る様に、ドラム叩いてた。
 何かあったの、って聞いたら…すごい悲しそうな顔で『俺の居場所なんてあるのかな…』って、言ったの。
 そんな顔してほしくなくて…つい、抱きしめちゃったんだ。
 そしたらなんで?って聞かれちゃって…」