絵描く道具がないのかな…。


「あ!藍架〜そろそろ帰る〜?」

「ん…うん、帰ろっか」


 扉の近くにいる涼のほうに歩み寄る。

 ―つんっ


「?」


 引っ張られた感覚がして、まおちゃんを見る。

 不安そうにあたしを見上げる目。


「また、来てくれる…?」

「…うん、もちろんっ!
 今度はお土産も持ってくるね!」


 一気に輝いていくまおちゃんの顔。

 やっぱりまだ、小さい女の子なんだなぁ〜。

 こっちの心が優しくなるような…暖かくなるような、笑顔。


「ねぇ、涼!」

「…まおちゃんってさ、天使みたいだよね」

「…涼?どうしたの?」


 涼の様子がおかしい…。

 いつもはっちゃけてるのに、今日は…落ち着いてるんじゃなくて、落ち込んでる…?


「藍架には話すけど、涼ね…家ではシカトされてるんだぁ〜!!」


 いきなり明るくなった涼。