何も言わずに頭を掻く光。

 …光のせい、なのに。


――あたしの、大好きな人。

  いつも真実を見つめて周りを導いてくれる。

  まさしく…光。


「…羽ばたけー!!Go!!!!」

「「「「The wing!!!!」」」」


 気合いを入れて、ステージに向かう。


「待って!」


 あたしの呼び止める声に、みんな足を止めた。

 ねぇ、期待しちゃうよ…?


「みんな大好きっ…けど、」


 ちら、と春樹を見た。

 春樹はあたしが何を言うか…わかってるんだね。

 笑って頷いてくれた。


「光…大好きっ!」


 い…った。

 返事はない。

 それで…いいの。


「早く行くぞ」

「えっ…」


 手を引かれる。

 その顔は…いつもより、もっと優しい。