「それから母さんはどっかの国に飛ばされて、生きてんのか死んでんのかすらわかんなくなっちまった」


 ただ淡々と話す光が、怖かった。

 だって…お母さんが生きてるのかどうかもわかんないなんて、想像できない。

 光はずっと、それに耐えてきたっていうの?


「母さん譲りの髪も、黒くされた。
 目はカラコン入れられた。
 そんな自分の母親に、親父はキレてたよ。
 けど小坂のトップはアイツだから、どうしようもなかった」


 白く細い光の指が、ドラムのスティックに触れる。


「中学入った頃だったかな…言う通りにしてても、母さんにはもう会えないって理解した。
 だから髪も金に染めて、問題ばっか起こした。
 でもその度にあのババアが揉み消してくれたよ」