追い付いたあたしを確認して、光がドアを押し開けた。


「お帰りなさいませ、光お坊っちゃま」

「ぶーーーっ!!!!
 あっははは、もぉ限界っ!」


 だってだって、光お坊っちゃまって…!!

 あの光が…っ!!


「似合わねーっ!!」


 だだっ広いホールにあたしの笑い声が響いた。

 ただそれだけの音の世界に、もう1つ音が増える。

 ―コツ…コツ…

 やっと笑いが収まってきて、左右に広がる階段を見上げた。

 そこには、1人の男性が階段を降りてきていた。


「随分と、賑やかなお客様だね」


 周りのメイドさんたちが頭を下げる。

 どこかで聞いた声に、光が顔をしかめた。

 たまった涙を拭ってその降りてきた人をじっと見る。


「え…」