まだ痛むおでこを撫でて、少し笑った。

 いつもの光だ…。

 こうやって、すぐに空気を変えちゃう。

 じんわり暖かい何かが、身体中に広がる。

 そのぬくもりを、少しでも逃したくなくて、ギュッと強く手を握った。


「はぁ…」

「光ー、涼アイス食べたいなー」

「家にあるから待っとけ」

「はーい」


 ため息に気付かずに、話が進められる。

 そういえば光の家って、どんな感じなんだろ。

 今までお家のこととか、聞いたことないなぁ…。

 どーせ、芳斗の家みたいにお金持ちなんだろうけど。

 いつの間にか車は見たことない通りを走っていた。

 豪奢としか言いようがないお家ばかり。

 …まさかの高級住宅街、だった。


「…え、と…え??」