――あたしはアレがアイツのモノだって気付かなかった。

 そんなこと考えもしなかった。

 アイツの正体さえ、知らなかったんだ。

 そんなことを考えもしなかったから、あたしは忘れていたの。

 彼らが―――…


「やっほー藍架っ★」

「瀬戸さんのお家?」

「そう言えば去年も来てたわよ!」


 彼らがリムジンでやって来ることをーーーっ!!!!!!!!

 ざわざわとうちを囲む人垣。

 その状況を見て、あたしは崩れ落ちた。


「………やっぱりリムジンなんだ」

「…何で春樹が藍架の家にいるんだ?」

「あー…あとで説明するわ。
 とりあえず車乗ろうぜ、ほら藍架」

「あ…うん」


 慎重に乗り込んだ。

 弁償とかできないし…。

 涼の隣に座って春樹を見た。