「おいおい…っ、てぇ!」

「え!?お兄ちゃん?!」

「微妙に刺さったから、な…っ」


 指に力を入れて、今度こそ救急車を呼ぶ。

 それまでの時間、アイツのことを話していた――…。

 赤いバラのこと、家に来たこと…

 お兄ちゃんは手を握りながら話を聞いてくれた。







―――――







 ―ピ…ッ ピ…ッ

 一定間隔の機械音が鳴る。

 ナイフは少し、肺に刺さっていた。

 お母さんには、通り魔に襲われたところをお兄ちゃんが庇った、と言って…。


「お兄ちゃん…来たよ、」


 今日もあたしは、学校帰りにお兄ちゃんのところに寄る。


「…、ん…」

「ごめん、起こしちゃった…?」

「、いや…」


 傷は塞いだけど、やっぱり苦しそう。

 肺だしね…。