ドアの前に置かれたたくさんの赤いバラ。


「いたずら?…気持ち悪いっ」


 足で隅のほうにやって道に出た。


「やぁ、偶然だね」

「!?…あ、昨日の…」


 手帳のお兄さんが、何でうちに…?


「気に入らなかったかな?
 赤いバラ」

「―ッ!」


 この人、が…っ!?


「またね…藍架」


 去っていく背中を呆然と眺めた。

 お兄ちゃん…お兄ちゃん、


「…あいたいよ」







―――――







 赤いバラを置かれてから1週間。

 毎日バラを片付けて川に流すのが日課になった。

 ごめんね、そう言いながら…。


「藍架ー、今日どっか寄ってく?」

「チエ…んーん、ごめんね…」

「わかった!じゃあ今日は真面目に家に直行しますかぁ!」