「寒いんだろ?」

「でも…」


 お兄ちゃんは寒くないんだよね?


「いいから、ほら!
 …ってお前手ぇあったけぇな」

「ひゃあ!手ぇ冷たいぃー!!」


 ぶんぶん振ったり離そうとしても離れない手。

 嬉しいけど寒いー!


「俺は心が暖かいからなー♪」

「何それ!あたしの心が冷たいってことー?!」

「はは」

「ちょ、何今のー!」


 笑って流される。

 でもね、こんな時間があたしにとっては幸せなの。

 もっと続いてほしい…そんなこと願ったからかな?

 こんなことになったのは―…。







―――――







「行ってきまーす!」


 靴を履いて外に出た。

 お兄ちゃんいないと身も心も寒いよー。

 …なんちゃって…え。


「…何、これ」