「藍架?!どうしたんだよ?!」


 春樹がドアのすぐ傍にいる。

 鍵がかかってるドアノブをがちゃがちゃと動かした。


「やだ、やだぁッ!!!!」


 ドクドクと心臓が鳴る。

 まるで“アイツ”が追いかけてくるみたいで。


「いやぁ、来ないでぇッ!!!!」


 その辺にあった物をドアに向かって投げた。

 クッションに枕にぬいぐるみに、――…

 ―ガシャーンッ!


「…ぁ…っ」


 大事な、写真立てが…。

 ガラスの割れる音であたしは、やっと正気を取り戻した。


「…藍架、大丈夫か…っ?」

「…うん、ごめん…」


 ドアに近づいて、開けた。

 そこにいる春樹はすごく戸惑ってた。

 そりゃあそうだよね…。


「ごめん、なさい…」

「いや、いいけど…」


 まだ早いけど、もう行こう。