「春樹くん、聞いていていいものじゃないけど…話すわね」

「…はい」


 やめて、やめてやめて

 あたしの中ではまだなおにぃは生きてるのに。

 なおにぃを殺さないで……


「藍架には、兄が居たの。
 生きていたら…今は大学1年生。
 でも、3年前に…亡くなったの」

「え…」


 やだ聞きたくないッ。

 お母さんがあたしを責めてるわけじゃないってわかってる。

 でも…ッ


『人殺し』

『アイツが死ねばよかった』


「やめてぇぇぇぇぇッッッ!!!!」


 耳を抑えても聞こえてくる声。


「「「藍架?!」」」


 みんなみんなあたしを責めてるんだ。

 あたしが死ねばよかったって思ってるんだ。

 リビングを飛び出して自分の部屋に駆け込んだ。


「ナオ…ナオ…ッ」