ねぇ…何でそんな風に涼のことを想えるのに…。


「何で…何でそこまで涼のことを想えるのに、守ってあげないの?
 涼はアンタたちの唯一のお姉ちゃんなんだよ?!
 何で両親から涼を守ってあげないのよぉッ!
 涼は、涼は…アンタたちも両親も好きなんだよ!!!!」


 幾分か高い千夏の頬に手を添えて、目を合わせる。

 逸らしかけた目。


「逸らすなッ!!
 …アンタたちは、今涼にしていること…胸張って涼の為だ、って言えるの?
 涼は親の代わりにアンタたちからいじめられるのなんざ望んでない!!
 ただ…ただ、仲良くしたいだけなんだよ…?
 わかってあげてよ…」


 …コイツらは、ただ不器用なだけなんだ…。

 だから上手く涼を守れないだけ…。

 ぽつり、地面に雫が落ちる。

 ……そう、でしょ?