「ちょっと待って!!
 だからって何でアンタたちが涼をいじめる理由に繋がるわけ?」

「大人たちは姉さんに手をあげる。
 僕たちが姉さんを虐げれば手は出さない。
 そういう考えで――」

「バカ!!体の傷は治っても、心の傷は治らないんだよ!?」

「だったらどーしろっつーんだよ?!?!?!」

「―ッ!?」


 黙っていた千夏が叫ぶ。

 その声は今にも泣きそうで、誰かに助けてほしいと叫んでいるようで…。


「俺らだって…本当はこんなこと、したくねぇよ!!
 でも俺らがしなきゃアイツらがもっとヒデェことするッ!
 なら、俺らがやるしかねぇじゃねぇかッ!!
 相手は小6の娘に包丁向けて死ねって言った奴等だぞ?!
 アイツらを相手してたら姉貴は殺されるかもしんねぇんだよ!!
 …どーしろっつーんだよッッッ!!!!」


 抑えきれない怒りを吐き出す。