「お願いしますッ!!
 あたしは…ッ、自分がしたことを、忘れちゃいけないんです…ッ!」


 もう一度頭を下げようとしたとき、暖かい手が動きを止めた。


「はる…き…?」

「よくわかんねぇけど…藍架が泣くほど嫌なら、俺は藍架ん家がいい」


 春樹…っ、あたし何も話してないのに…ッ。

 ごめんね、春樹、お母さん、宏樹さん…。


「ふー…仕方ない、な。
 そういうことだ、紅子さん。
 俺はどうも息子に甘くてね…」

「ふふっ、私もよ。
 じゃあ…うちで、暮らしましょ」

「っ…良か、ったぁ…ッ!」


 安心して泣き始めたあたしは、気付いていなかったんだ。

 あの言葉に、どんな意味があったのかを…。