「いや…っ!いや…!!」

「藍架ッ!!」


 溢れ出すアカ。

 あいつは笑って…

 突然、抱きしめられた。

 仄かに香る光の匂い。

 香水とか、オシャレな匂いじゃなくて…

 漂白剤のフルーツの匂い。


「…っ」

「大丈夫。大丈夫だから…」


 ぽんぽん、と背中を撫でられて、息が落ち着いてくる。


「ハァ…ハァ…、」


 目元に溜まった涙が溢れ落ちて、光の肩に当たった。


「な…お、に…」

「藍架?おい、藍架ッ!」


 あたしの意識はそこで途切れた。







 夢を見た。

 前にも見たことがある夢。

 待ち合わせをして…デートする夢。

 今考えれば、おかしいね?

 何で同じ家なのに待ち合わせしたんだろ、って…。

 でも…あたしは待ってたんだ。