ごめん、お母さん。

 お母さんの顔を見ないようにした。


「…」

「…ごめん、1人にして」


 今は人のこと気にしてらんないの。

 自分のことで精一杯…。

 ゆっくり2階に上がった。


「ふ、…ぅえっ…」


 誰もいなくて、もっと涙が溢れる。


「う、うぅっ…あぁ…っ、はるきぃ…」


 思い出すのは、春樹の笑顔ばかり。

 何でこんなときまであたしを離してくれないの?


「バカ…バカぁ…っ」


 好きじゃないなら優しくしないで。

 何とも思ってないなら、笑わないで。

 好きな気持ちを忘れられないから。


「うわぁん…ふえ、…んくっ…」


 ぎゅうっとナオを抱きしめた。

 ナオはいつもあたしと一緒にいてくれる。


「ナオ、ナオ…ッ!」


 まるであの日に戻ったように、あたしは泣き続けた。