「…うん」


 お願い、そんな顔しないで?

 そんな顔させたくて言ったわけじゃないの。


「来年もあるし!
 気まずいと変じゃん!
 だから秘密ね!」

「…おぅ」


 うそ。ただ慰められたくないだけ。


「あぁ〜!あたしそろそろ帰んないと!
 お母さん待ってるし!
 じゃあまたね、よいお年をー!」

「おう。…またな」


 最後に少し微笑んだ春樹。

 ねえ あたし、笑えてた?

 泣いてないよね?

 視界は霞んでるけど。







 本当に本当に、あなたが好きでした。

 流れる涙は止まりそうにない。

 それだけ、春樹を好きだったの。

 あの人より、ずっと…ずっと…。

 静かにドアを開いた。


「おかえり!今日は人…どうしたの!?」

「ッ何でもない」

「何でもなくないでしょ!?」

「ほっといてよッ!!」