「今、可愛いって思ったろ?」
「……へっ?」
目の前の神矢くんはさっきの様子とは違っていつもと同じ余裕に笑う。
「本当は誰が可愛いか教えてやるよ」
「え?……んんっ、────」
そのとき、強引に唇が重なった。
強引だけど優しくてとろけてしまうような甘いキス。
名残惜しくその唇は離れると、神矢くんはあたしの頬に手を添えた。
「そんなカッコで零士に会って笑顔向けてんだと思ったらムカつく。」
そんなカッコって……
あたしは自分の格好を改めて見る。
「こんな肩出して、短けぇスカートはいて襲ってくださいって言ってんの?」
そう言って、妖しく肩をなぞる。
「や、上にコート羽織ってたし!そんなつもりじゃ……」