「………神矢、くん…」



気付けばその名前をつぶやいていた。



そんな小さなあたしの声に振り返ったあなたはふぅ、とため息をついた。




「遅ぇよ、バーカ」




なんて、笑った。



遅ぇよって……え?



「ど、どうして、いるの?」



そう聞くと、神矢くんは俯きがちに言う。



「……待ってたんだよ。お前のこと。」



……待ってた?



「……どうして?」



すると、神矢くんは怪訝そうな顔をした。


「はぁ?どうしてって…お前に……」




何か言いかけた神矢くんは口を閉ざし、あたしに近づいてくる。