「あ、神矢くんも怪我してる……ここ」
神矢くんの口元が切れて血が出ていた。
多分、さっき殴られたときの傷だろう。
あたしは近くにあったタオルをその傷口に当てた。
「何かあったんでしょ…?」
「いや、別に……」
見つめたその目を逸らした神矢くんは当てたタオルをとった。
「もう、女の子取っ替え引っ替えするのやめたら…?さっきのもそれが原因なんでしょ?」
顔を上げた神矢くんは嘲笑うかのようにあたしを見た。
「お前には関係ねぇだろ。」
「関係ないよ。でも、一緒に住んでる以上、関係ないことなんて…ないよ。」
「へぇ、じゃあお前ならどうすんの?」
神矢くんはあたしの目を見つめて笑った。
「……女遊びをやめさせる」
真剣にそう言ったつもりなのに
神矢くんは吹き出すように笑った。