「……うるせ。」
神矢くんはそのままあたしをお姫様抱っこしたままマンションに入った。
部屋に着くまでも神矢くんは至って真剣な顔つきだった。
いつもの神矢くんならイジワル言って笑うんでしょ?
何で真剣な顔するのよ……
そんな顔されたら何も言えなくなる。
調子崩れるよ……。
「ほら、足出せ」
部屋に着いて只今、ソファーの上。
すっかり外は暗くなってもうすぐ花火が始まる時間。
あたしは神矢くんに言われるがまま、足を出した。
丁寧に消毒する神矢くん。
着付けだけじゃなく手当ても上手いんだ……
そういえば、突き指したときも湿布貼ってくれたよね。
あたしと違って器用なんだ…
「一応消毒したけど風呂あがったら絆創膏貼っとけよ」
そう言った神矢くんは救急箱を閉めた。