「それに、あたしも…ちょっと……」


小さくそう呟くと神矢くんがあたしの目を見つめた。



「オレに……会いたかった、とか」



いつもは口角を上げてイジワルに言うのに今回はやけに真剣な顔で……


そんな神矢くんに見つめられるからあたしは何も言えなくなって俯いた。



「……ふっ、そこは否定すんじゃねぇの……いつもなら」



「か、神矢くんこそ……何かおかしいよ……」



お互い何だか気まずくて……



「じゃ、帰るか。」



そう言った神矢くんにあたしも立ち上がろうとしたけど



「痛っ……!」


足の指に痛みを感じた。


しゃがみ込むんで見てみるとさっきよりも酷くなっていた。


さっきも走ったからな……


すると、神矢くんに下駄を脱がされた。



「結構ハデに怪我してんな」


神矢くんの端正な顔が近づく。

その綺麗な指が触れる。



「や、その…走ってさ……バカだよね。」


「ああ、バカだな。」


そう言った神矢くんはあたしの身体をひょいっと持ち上げて…



「ちょ、神矢くん…お、降ろしてよっ!」


お姫様抱っこしたんだ。