足を引きずりながらも神矢くんの元まで走ってその男の前で腕を広げた。



「……神矢くんに手、出さないで。これ以上殴るんなら警察呼ぶから」



強気でそう言うと、その男は舌打ちをして去って行った。



「……神矢くん、大丈夫……?」


差し出した手を無視した神矢くんは一人で立ち上がった。



「何で邪魔すんだよ。あの男の気分が晴れるなら殴らせときゃいいだろ。」


いつもより冷ややかな瞳をあたしに向け言った。



「何があったか知らないけど…見てられなかった。あたしだって助けたくてしたわけじゃなくて……勝手に身体が動いてた。」


言い訳じゃないけど本当にそうだった。



「ってか、お前…祭りじゃねぇの」



「あ、そ、そうなんだけど……ちょっと相馬くんに……」



「あ"?慶樹?慶樹に何された、アイツお前に何かしたのかっ!?」



急に顔色を変えた神矢くんはあたしを壁に追いやった。



「そ、相馬くんが理沙と花火見たいって言うから……」


「………」


すると神矢くんは黙ったままあたしから離れた。