「ふざけんじゃねぇぞテメェ」
怒鳴りつけるような低い声。
何?喧嘩かな……
それとも不良が荒れてる!?
マンションの入り口でやめてよね……
何て思いつつも気になったあたしはそーっとその現場を覗いてみた。
すると、そこに居たのは─────神矢くん!?
もう一人知らない男の人がいて…
神矢くんより少し背の低いその男は神矢くんの胸ぐらを掴んでいた。
「何とか言えよ、恵令奈に何した…」
えれな、?
誰だろ……
神矢くんはというと、黙ったままでダルそうにしていた。
「ふっ、そんなの一つしかねぇじゃん。帰りたくないって言うからホテル連れてって……そっからはわかんだろ?」
その瞬間、その男が神矢くんの顔を殴った。
「……テメェ、人の女に手ぇ出してんじゃねぇよっ」
殴り飛ばされた神矢くんの身体を跨いだ男はまた拳を振り上げた。
「や、やめてっ!!」
気づいたらそうあたしは叫んでいた。