【芽衣side】
「ねぇ、花火大会行かない?」
夏休みに入ってから数週間
そう理沙から電話があった。
毎年恒例、近所でお祭りがある。
そしてメインイベントの花火。
この辺では大にぎわいするのだ。
その花火大会が今日だなんてさっき手帳を見て思い出したんだ。
「浴衣着て行こ〜」
理沙は、はりきって浴衣着て行こうなんて言うからあたしは今クローゼットの中から浴衣を探している。
「どこかな〜」
脚立の上にのって探しているとぐらっと視界が揺らいで倒れる────!
そのときふわっと包み込まれた。
「……ったく、危ねぇなお前は」
神矢くんに抱き留められていた。
「か、神矢くん……!」
「届かなねぇくせに。マジ危ねぇわ。」
神矢くんはそう言うと、あたしを床におろした。